【配当利回り狙い】利回りの高い銘柄を狙った売買は儲かるの?

配当利回りの高い銘柄は儲かるのか?

配当利回りとは?

多くの企業では、利益を株主に還元するために、配当を実施しています。日本企業の株式で、配当利回りの平均は年間2%程度と言われています。これは、例えば1000円で株式を購入すると、2%分の20円を1年に1回受け取れる、ということになります。日本企業の配当金額は年々増加傾向で、2019年3月期決算の配当総額は、6年連続で過去最高を更新し、11.6兆円(ソース)が配当として株主に還元されました。配当金額は企業ごとに決められていて、0.5%の銘柄もあれば、7%近い銘柄もあります。REIT(リート)といわれる、「不動産投資信託」も、配当利回りが比較的高く値動きも安定しているため、少し前から人気の銘柄となっています。

配当利回りを狙って儲ける方法とは?

配当を受け取るには、企業ごとに決められた月の配当基準日に、その企業の株式を保有している必要があります。配当のタイミングは年に1、2回がほとんどですが、逆に言えば1年で1日だけ株式を保有していれば、配当を受け取る権利が得られます。1日だけ保有するのであれば、理論上は株価の値動きの影響をほとんど受けずに、利回り分だけ儲けることができます。

配当利回りを狙って儲ける手順

  1. 狙っている企業の配当月の配当基準日に、株式を購入する
  2. 次の日に株式を売却する
  3. 2〜3ヶ月後、手順1で保有していた分の利回りを受け取ることができる

配当利回りを狙って本当に儲かるのか?

ここまでの内容は、典型的な手法の紹介でした。では、この方法は本当に儲かるのでしょうか?

株式は、需要と供給で価値が決まります(=株価)。もし儲かる手法があれば、世の中の多くの人が同じことをするはずです。上に書いた手順を、需要と供給の観点で見てみます。

配当利回りを狙って儲ける手順(需要と供給)

  1. 狙っている企業の配当月の配当基準日に、株式を購入する
    需要が増える=株価が上がる
  2. 次の日に株式を売却する
    →供給が増える=株価が下がる

いかがでしょうか?絶対儲かる手法だとすると同じことをする人が増えるはずで、より顕著に株価に反映されるはずです。同じ行動を取る人が多いほど、割高な株価で購入し、割安な株価で売却する可能性が高まります。つまり、1日だけの保有期間としても、値動きによる損失を被ることになります。実際の株価チャートを見ていただくとわかりますが、配当基準日の次の日の株価は値下がりする傾向があります。多くの場合、この手法を使って得られる金額は、配当利回りによる利益と、値下がりによる損失の差額となります。つまり、結果として損することもある手法だということです。

実際のデータで検証する

実際に、配当利回りを狙った売買で儲かるのかを確認します。2019年9月の配当だった明和産業(8103)を例に取り上げます。なぜこの銘柄を選んだのかというと、全銘柄4000超の中でも、配当利回りが非常に高いからです。明和産業は、1株あたりの株価が600円程度に対し、配当が56円。なんと、配当利回り9%台の超高配当銘柄です。配当利回りが高い銘柄として、タバコのJT(2914)、ソフトバンク(9434)などが有名ですが、JTでも利回りは6%台です。配当利回りを狙って、明和産業の株を1日間保有するだけで、資金が10%近くも増やせるなんてことはあるのでしょうか?

それでは、配当基準日の2019年9月26日に、配当狙いで明和産業を100株売買した結果を以下に記載します。株価は、9月26日の終値で買って、9月27日の始値で売ると想定しています。

明和産業を配当狙いで売買した結果
配当分の利益 +5600円
株価変動分 -6700円
差額 -1100円(-1.8%)

結果は、明和産業を配当狙いで100株売買すると、1100円(+手数料)の損失を出すことになります。このように、配当利回りが高い銘柄は、当然多くの人が配当狙いで売買をするために、利益を出しづらくなります。

まとめ

  • 配当狙いで売買をする場合、1日間だけ保有すればよい
  • 高配当の銘柄は、株価変動分で配当分と同じくらいの損失を出すため、配当狙いは儲からない

配当狙いで単純に売買しても、簡単に儲かる手法ではないということがわかりました。高配当の銘柄はオススメだ、という記事や投稿は非常に多く見ますので、ぜひご注意ください。

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